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フィンランド賛歌
バルト海の豪華船は“浮かぶ都市”
ヘルシンキからスウェーデンの首都ストックホルムまでのバイキングのバルト海は豪華客船シリアラインのシンフォニー号による十五時間にわたる船中泊のクルーズである。
六万トンの汽船で三二〇〇人収容。十二階建てでエレベーターが六本備えてある。船内にはレストラン、バー、サウナ、プール、免税店、カジノその他までそろっているが、浮かぶホテルというより都市である。
乗船するときは胸がときめいた。一人ひとり写真をとった。安全のためだけで、パスポートは不要だった。
九階の客室に落ち着くとすぐ発船。静かな海を滑るように進む。七階のデッキに出ると乗客が大勢いる。ヘルシンキ湾は松島のような感じで優雅に船は進む。潮風が涼しく頬をなでる。
夕食は北欧風ビュッフェでバイキング料理の元祖「スモークガスボード」を食い放題、飲み放題でふるまわれたのは最高だった。何でもあってダイエットにはよくない。相席にツアー仲間で名東区極楽に住むFさん夫婦が見えたので、
「海外旅行にはよく来られますか」
「今回は銀婚式記念で来ました。前にスウェーデンへ仕事で来たので北欧を選びました」
という問答をきっかけに話がはずんだ。
飲み放題というのがよい。アルコールには弱い私も、風邪もほぼ治ったことだしビールを少し頂いた。船の中の買い物は何しろ高価なのでやめて客室に戻り、白夜の名残で美しい日没を見てから寝た。翌朝島々が見えるのでスウェーデンだと判り、早速デッキに降りたが、風が冷たくほうほうのていで部屋に帰った。
ストックホルム付近だけでも大小二万五千の島があるという。波浪はなく静かな海だ。スウェーデンの海岸が、北欧的な原始林の長い森林なのは意外である。埠頭に着いてスウェーデンに足を踏み出した。