ステージ2 「面白そう」から仕掛けてみる

2-1 「印象」から考える

では、日常でどう仕掛ければいいのでしょう?

それはこの章で考えていきたいと思いますが、簡単に「印象」を変えることを試したいのであれば、手っ取り早くできる方法はあります。それは「やってほしい」ことについて、「あれ」も「これ」も言いたい気持ちを抑え、「あれ」に絞ることです。つまりは、「長くしない」ことです。

本を読ませたいを例に取っても、お子さんがいきなり分厚い本を何冊も手に取って熟読するとはなかなか考えられないでしょう。まずは、すぐ読み終わりそうな薄い本を渡すとか、好きそうなジャンルから選ばせるなどで工夫すると、より話が進みやすくなります。

ほかにも、自分が読んで面白かった本を自身の解説とともに紹介したり、少し読めば引き込まれるとわかっている本を「数ページ」だけ読んでもらうよう勧めたりと、「印象」を意識さえすれば仕掛け方もいろいろと考えられます。

ただし、「長くしない」だけでは当然「面白そう」には届きません。

話が少し変わりますが、TVでたまたま見かけた話で、とある有名な日本料理のシェフも「印象」について語っていました。料理で大事な要素の一つとして、味以外に「WOW(驚き)」も意識されているそうです。

言うまでもなく「やってほしい」○○は引きつけるだけを目的せず、最後までやり遂げてほしいものではありますが、それにはまず興味を持ってもらうことが肝要ですので、焦らず「面白そう」に近づけていきましょう。

ただ美味しいだけの味は忘れ去られてしまう。そこに「WOW」が入れば「感動」につながり、また来店してみようという気持ちにつながるとの話でした。

このあたりを掘り下げるといろいろ出てきて、あのディズニーも同じく「WOW」を大事なキーワードとして掲げているそうなので、人の心をつかみ離さないというところには必ず不断の努力が存在しています。

その内容が良いだけで満足することなく、強い「印象」を考えることは大事なことなのです。

このように数多くの工夫がされているなかで、親御さんの「やってほしい」○○だけ、お子さんの心をつかむための「印象」は不要と考えることは非合理的ですし、より「印象」が良いものに興味を取られていくだけで終わってしまうかもしれません。なので、一度しっかり考えてみる必要がありそうです。

ポイントまとめ

親御さんの「やってほしい」〇〇が、いかにお子さんの将来にとって役立つものだとしても、振り向いてくれなければ始まりません。

情報や選択肢があふれている昨今では、どの分野においても、受け手の入り口となる「印象」が大切になっています。

「やってほしい」〇〇が、お子さんにとって未知なるものであるほど警戒されると思いますので、必要となる「印象」について考える必要があります。