4. NQ単独での脳内GABAA受容体阻害効果の強い順序について(参考文献2より)
プルリフロキサシン(スオードⓇ)≒ノルフロキサシン(バクシダールⓇ)>シプロフロキサシン(シプロキサンⓇ)≧オフロキサシン(タリビッドⓇ)≒トスフロキサシン(オゼックスⓇ)≒ロメフロキサシン(バレオンⓇ)>レボフロキサシン(クラビットⓇ)
プルリフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシンは強い阻害活性を示しています。
別の報告で次のようなデータもあります(「宇野勝次(福山大学薬学部)講演内容」より)。
エノキサシン(止)>>ノルフロキサシン>ロメフロキサシン>シプロフロキサシン>>>メガロシン(止)、スパルフロキサシン(止)、オフロキサシン、レボフロキサシン
ここではロメフロキサシンも強めの阻害活性を示しており、実験者間で相違が見られます。(止)は現在販売中止となった薬で、NQ系抗菌薬間の競争の激しさを感じます。
参考文献5より、ガレノキサシン(ジェニナックⓇ)はラット脳GABA受容体を阻害しない結果が出ています。ただしガレノキサシンの市販後調査では、プロピオン酸系との併用で痙攣が報告されています。
5. NSAIDs併用により痙攣を誘発したNQについて(参考文献3と4より)
ノルフロキサシンとロメフロキサシンの報告があります。
まとめ
シタフロキサシン、プルリフロキサシン以外のNQには全て添付文書上、痙攣の副作用があります。プルリフロキサシンも受容体阻害ではノルフロキサシンに匹敵する阻害活性を持っているので、シタフロキサシンも含めて全てのNQには単独で痙攣を誘発する可能性があると考えておいた方がよいと思います。その上で以下を考慮しておく必要があるでしょう。
(1)痙攣誘発の可能性が高そうなNQはプルリフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ロメフロキサシンと考えられます。
(2)てんかん既往のある患者では、全てのNQ処方に対して疑義照会が基本と思われます。ちなみにGABA増強作用の抗てんかん薬にはデパケンⓇ、ガバペンⓇ、リボトリールⓇ、トピナⓇなどがあります。
(3)モキシフロキサシン(アベロックスⓇ)以外は、腎排泄型薬剤のため腎機能障害時は血中濃度が高くなり痙攣誘発要因になる可能性が危惧されます。