第2章 リズムメイク
5. 適度な変化量が心地よいリズムを生み出す
違和感がなく自然な変化
リズムで見ている人の視聴意欲を高め没入させるには、映像の流れに心地よいパターンを生み出さなければなりません。先述のとおり、映像リズムは数値化と記号化が難しく、直感に頼る部分が大きいです。
まずは基準となるリズムを作り、そこから相対的に刺激と安定を作り出していきます。基準となるリズムは、「違和感がなく自然な変化」つまり普通と感じるリズムのことです。
では普通のリズムとはなんでしょうか?
次のA〜Cのカット変化で一番違和感がなく、心地よく感じるリズムはどれだと思いますか? 1カット目と2カット目が1秒ずつ交互にくり返されるとイメージしてください。
おそらくほとんどの人がAだと思ったはずです。
Bは変化の差が大きすぎて強い刺激を感じます。Cは変化が微妙なジャンプカットになっており、違和感を感じます。Aは適度な変化のため一番違和感が少ない、つまり普通だと感じたと思います。
このように自然なリズムを作り出すには適度な変化が必要です。適度な変化を具体的にいえば、ウエストショットからバストショットくらいのサイズ変化、正面にカメラを構えた場合、30度くらいのポジション変化です。
変化が強すぎても弱すぎても自然なリズムにはなりません。
インパクト重視の映像はBのような刺激の強い変化が多用されます。若い人ほど刺激的な映像を好む傾向があり、変化の多い編集をやりがちですが、まずは普通のリズムを作り出すことを最優先しましょう。
この適度な変化はサイズ、角度だけでなく、以下の6種類に分類することができます。
・サイズ変化( ロングショット、フルショット、ウエストショット、バストショット、クローズアップ)
・アングル変化( 目高、あおり、俯瞰、正面、斜め、横)
・画面位置変化 (中央、右寄り、左寄り、上寄り、下寄り)
・明度変化( 明るい、暗い)
・色変化 ( 暖色系、寒色系)
・意味変化( 男と女、人間と自然、日常と非日常など)