「試合に出たメンバー、ユニフォームの胸を見ろ。そこに、オレたちの学校の名前があるか。オレたちの胸に、オレたちのプライドがあるのか」

くっ、と、何かをこらえる喉元の声がもれた。まだ書類の手続きも済ませていない風間くんが、涙を見せている。

「龍城を助けた、とか、龍城のおかげで、とか。オレは、彼らに感謝してますけど、それだけじゃ、イヤです」

保谷くんが、真っ赤な顔をして足立くんを見据える。

「自分の学校の名前で、胸を張って闘いたいですよ。どんな試合だって!」

その言葉を受けて浮かべた足立くんの表情を、佑子は何と言葉にすればいいのか。

人間は、こんなにポジティブな意志を、ストレートに表現することができるのだ。強烈な決意が、その静かな表情に、静かで無言だからこそ、はっきりと存在感を示している。

そして自分に、その表情を受け止めることができるのか。佑子の胸の内に、自分ではコントロールしようもない思いが満ちて行く。

止めどなく涙を流し続ける海老沼さんの、その素直さを羨ましくさえ思う。