ハエがうるさい…

女性向き? ローテンブルク

昼下がりの暑さの中を出発したバスは冷房をかけてくれて快適だ。一般にドイツではホテルでも冷房をかけない。オゾン層を破壊するフロンガスを排除するという地球に優しい国策も影響あるが、北ドイツでは夏の朝でも涼しいくらいで、実際に必要がない。さすが観光バスだけはクーラーがあるのはありがたい。

ネッカー河の幅広い渓谷をさかのぼっていく。ここを古城街道と呼ぶ。実に水量が豊富でゆったりした景観である。一時間に一つくらいの割合で船舶用のゲートがあるくらいで、相当大きな貨物船が遡上して行く。河岸はケショウヤナギなど緑ゆたかな木々がなびいている。時折小さな城があり、ツインゲンベルク城などが可愛らしい。ネッカー河畔の古城街道は今度の旅で最も清々しい、昔からのヨーロッパの空気に浸った街道だった。

一山越えてローテンブルクの中世的にチマチマとした城壁と街が見えてきた。メルヘン世界の入口であるが、私にはどうもこの手の街は苦手である。家内の方は喜んでいる。この街の在りようが真に「ロマンチック街道」であるところの本質を見抜いていると言ったらほめすぎか。端的に言えば、この街は女性向きで、男には判らぬ良さがあるのか。

この街は張り出し看板の面白さが気に入った。世界的に有名なクリスマスグッズの店があり、家内は孫への土産を買った。見事な石畳、しかし観光馬車の落とし物でハエがうるさい。ホテル・シュルネの夕食にも飛んでくる。さて、ここから先、夕食代は全部こちら持ちである。この日は三二・五ユーロであった。