さて、現実の園において、子どもたちが安心して過ごすためにはどうしたらよいのでしょうか。

まず考えたことは、子どもたちが毎日生活する場である園において、もっとも深くかかわる職員の人間関係がよいものでなければならないということです。

子どもたちのそばにいる職員間の人間関係が悪くては、子どもは安心できません。たしかに限られた場所で毎日生活していると、いろいろな行き違いや誤解が起こります。

とくに一つのクラスを複数の先生が担任しているところでは、考えの違いや受けとめかたの違い、食事のときの食器の配りかたやふきんの置き場所にしてもそれぞれのやりかたがあって、感情の行き違いの要因になることがあります。

また、職員と保護者との人間関係が悪くては、子どもは安心して園で生活することはできません。園に持ってくることに定まっている物を持ってこなかったり、連絡なしにおむかえが遅くなったり、持ち物が紛失したり、顔にひっかき傷があったりケガをさせられたり、その他いろいろなことが起こってきて、職員と保護者との間にも行き違いや感情のぶつかり合いが生じます。

職員の人間関係については、

・打ち合わせや話し合いが日常的に行われること

・園の基本的な姿勢が、いつも子どもの幸せや成長のために努力するものであること

・専門職としての知識や技能が評価されるとともに、さらに向上しようという刺激や雰囲気があること

・ある段階までは責任をとらねばならないが、最後の責任は主任の先生や園長にとってもらえることがはっきりしていること

これらが専門家としての自覚とゆとりを持たせることになって、人間関係をよくしていくように思います。

もちろん、お菓子を食べながら雑談したり食事をしながら話し合う機会や、ときには一泊旅行などによってお互いをよく知るとともに、リラクゼーションすることも必要です。

そして、職員と保護者との関係については、ちょっとした行き違いや誤解があっても、翌日顔を合わせたときにいつものように朝の挨拶をしたり、連絡帳や直接の会話によって必要なことを伝えたり、子どもの良い面を知らせたりすることによって是正していくことができます。