【前回の記事を読む】ただのお遊戯会じゃない?わかば保育園のユニークな取り組み「合同あそび」とは
「大東わかば保育園」の日々の保育実践から
「食育」について~味や栄養とともに、雰囲気を大切に
20年ほど前から「食育」ということばがマスコミや雑誌などで取り上げられ、よく目にするようになりました。2005(平成17)年6月には「食育基本法」が公布され、同年7月から施行されました。
学校や保育所においても「食育」に取り組むようにとの指導が活発におこなわれ、多くの“通達”や各種の印刷物が送られてくるようになりました。また、保健所には「食育」を担当する専門職が配置されました。
その背景になるのは、以前からの健康志向ブームと、地球温暖化や環境問題、食品の安全性への関心の高まりでしょう。特定の集団や階層を対象とした政策ではなく、より広い層への政策として立法化されたものと思います。
「食育基本法」が存在する・しないにかかわらず、子どもの育ちにとって“食事”が大切なことは、ずっと以前から認識されていました。一般社会の常識としても、栄養学や医学の発展・発達としても、食の重要性は明らかにされてきたように思います。
当園では1976(昭和51)年の開園のときから、「食事は子どもにとって身体的にも精神的にも重要です。カロリー面、栄養面への配慮はもちろんのことですが、味や雰囲気も大切だと考えています」(“入園のしおり”「給食について」より)という考えのもと、初代の清谷栄養士にもよく考えてもらい、全年齢にごはんを中心とした主食と、野菜を多く取り入れた副食を数多く揃えたメニューを実現してきました。
1980(昭和55)年からは、自然食専門店から天塩、小麦粉、三温糖、押麦を購入し、おやつも白砂糖と添加物をできるだけ含まないもの(約7~8割)を使うようにしました。子どもたちが楽しく食事するとともに、「いつのまにか嫌いなものが食べられるようになった」とか、「食事のマナーがいつのまにか身についていた」といった雰囲気になるように、また子どもたちと一緒に食事するクラス担任の先生たちも量的に満足でき、おいしく食べられるような内容になるように配慮してきました。
2006(平成18)年3月には、「食育推進基本計画」が制定されました。そこでは、積極的に食育の取り組みを家族に対して促すように、保育園に求めています。しかし当園では、これまでそれほど積極的に取り組んではいません。毎日の保育と食事の内容をよくすることに力を尽くしている自負があったことと、それぞれの家庭には歴史や事情があり、あまりおせっかいになるようなことはしたくなかったためです。
ただ「食育基本法」が公布される前年の「合同あそび」では、『食育ランドのはなし』を通してバランスよく栄養を摂ることや、お米や野菜の生育の様子を、遊びながら学びました。そして大人の方にも、子どもたちの「合同あそび」を楽しみながら「食育」に関心を持ってもらう機会を提供しました。
今後も、クラス懇談会の場や、毎日の子どもの様子を通して食事について考えていただく機会を提供したいと考えています。