いま、保育の現場ではいろいろな問題が起きている

一律的な行政監査が、保育の現場を消極的にさせている

四〇年以上にわたって、保育園という現場で多くのことを感じ、そして考えてきました。社会福祉法人運営のための規則の改訂、社会福祉法人会計制度の改訂、そして何回かの保育指針の改訂や、平成二七年度から始まった新制度にともなう多岐にわたる制度変更等々を現場で受けとめてきました。

そして、保育行政を担当する職員や日常的に保育園と関係のある小学校、中学校の校長先生や先生たち、消防や警察の人、保育用品の業者の担当者、地域の人々など多くの人と接してきました。

なによりも保育園の園長先生や職員のかたがた、市や北大阪ブロック会、さらには大阪市をはじめとする他の地域のかたとも可能な限り接してきました。多くの園にも用事を見つけて訪問してきました。

保育園では、法律や制度や保育指針が変わるごとに、多くの説明会や研修会が行われます。また、関係する機関や大学の先生などからのアンケート調査や多くの事務連絡も来ます。アンケート調査だけでも年間を集計すると、相当な事務量になります。

たとえば、個人情報保護法が平成一五年にできました。たしかに現在の日本社会の現実からすると必要な法律だと思います。

しかし、その運用の現実は行政や警察・施設管理者の拡大解釈や自己保身によって、消極的な運用がまんえんするなど多くの弊害を引き起こしています。

保育界を見たときにも、他の園のうんどう会や生活発表会などを見学して学ぼうとすることに消極的になり、自園の保育を他の園の人に見てもらうことにも消極的になってしまっています。

行政主催・保育団体主催の研修は活発に行われていますが、その内容は現実から離れたものになっていて、得るところは表面的なもので終わっています。