次に図表2を見てみる。この図は1978~2020年度にかけて設置されている四大の学部および短大の学科数の推移を示している。

写真を拡大 [図表2]四大・短大に設置される学部・学科数

まず、四大の推移を確認すると、1978年度では国公立408学部、私立690学部の合計1,098学部あったものが、1986年度頃まで緩やかに増加する。それ以降は上昇幅が拡大し、2010年度には国公立657学部、私立1,822学部の合計2,479学部まで拡大する。その後しばらく微減傾向となるが、2016年度から再び増加に転じ、2020年度では国公立664学部、私立1,946学部の合計2,610学部となっている。

次に、短大の推移を確認する。1978年度には国公立221学科、私立1,054学科の合計1,275学科であったのが、1983~84年度に100学科ほど急減するがそれ以降は拡大傾向にある。

それが1990年度の国公立282学科(国公立のピーク)、私立1,228学科の合計1,510学科を境に頭打ちの状況になる。そして、1995年度の国公立278学科、私立1,260学科(私立のピーク)の合計1,538学科を境に低下の一途をたどり、2020年度時点では国公立35学科、私立574学科の合計609学科にとどまっている。

これはピーク時に比べて国公立は12.41%、私立は45.56%の水準にまで減少したことを意味する。四大の設置数の増加を経済学で言うところの新規参入と捉えるならば、学部の増設は既設大学による規模拡大を表していると言える。

四大設置数はここ40数年で約1.84倍に拡大したと述べたが、学部設置数に関してはここ40数年で約2.38倍に拡大している。大学業界へ新規参入するとなると校地面積や設備面など、大学設置基準で示された数多くの事項をクリアしなければならないが、学部新設であれば既存設備や人材を上手く配置転換などをすれば低コストで規模の拡大が実現できる。

進学率は大学業界へ流入する顧客フローの代理変数、在籍者数は大学業界で蓄積される顧客ストックの代理変数とそれぞれ捉えることができる。

もし、低コストで学部増が可能であればフローの間口を広げることでストックがより拡大し、大学の収益構造改善に寄与できると期待される。そのため、新規参入以上の規模拡大が四大とりわけ私立で起こったと考えられる。事実、国公立の学部数は40数年間で約1.63倍しか拡大していないが、私立になると2.82倍にまで拡大している。