薬の副作用:薬物過敏型

微量の薬でも体が異常に強く反応してしまう副作用ですが、このタイプは2つに分類されます。

1.アレルギー型

薬に対して抗体(特にIgE抗体が問題)が作られることによって引き起こされるアレルギー反応の副作用です。多くの薬は小さな分子量しか持っていませんから、薬そのものは抗原になりにくいのですが、その薬が体内の臓器のタンパク質と結合して見かけ上巨大化した場合に、体の免疫系は非自己と見なして抗体を産生して排除しようとするわけです。

この場合はいったん抗体ができるとごく微量の薬物が入ってきても反応しますし、その反応は一般に激しく、重大な副作用の多くはアレルギー性に分類されています。このタイプの副作用では即中止が原則であり、再投与は禁止になります。さらに、構造の似た薬の投与も同じ抗体が反応し得るので使用を避ける方が無難です。

このタイプの副作用は抗体生成の過程を考えると2回目投与以降に起こる可能性が高く、特に投与開始半年以内に起こる頻度が高いとされています。初投与から半年はアレルギー反応性副作用をチェック、それ以降は薬物毒性型副作用をチェックするのが基本的な対応になります。

2.特異体質型

薬は一般に体内で代謝酵素の働きで体外へ排泄されやすい形になりますが、人によっては遺伝的に代謝酵素の量が少ない場合があります。そのような特異体質の人に、ある特定の薬の普通量を投与すると薬の代謝が遅れて体内に蓄積して副作用が起こり得ます。その場合は薬の量を減らすか、他の薬に変更する必要があります。

まとめ

副作用の機序分類を知っておくことはその後の対応にもつながり非常に有用ですが、機序別に分類できない場合も多いです。

ある医療機関の副作用報告を分類する機会があったのですが、薬理作用型33%、薬物毒性型27%、薬物過敏型20%、機序不明20%でした。薬理作用型が多いと本文では記載しましたが、意外に突出していない結果となりました。

これは薬理作用型を当たり前、薬物過敏型は大変と考えた報告者によるバイアスが働いたものと思われます。また機序不明が多いのも分かっていただけると思います。機序別分類に必要な薬理作用をどこまで適用できるのかの判断が難しいと感じました。