5.「限界利益」を重視しよう
☆カテゴリーごとに「売上・原価・利益」を分析しましょう
次に、運送業の某社です。取引先別「顧客利益の検討」で、変動費は「燃料費」等、その取引先ごとに発生する個別の費用を抽出。「製造原価」としての「労務費・賃金・外注費」等があれば、前述の通り除外(販管費に加える)。販管費の配賦は前記と同様。これを分析し、今後の方針を考えます。
A顧客:売上は多いが、燃料原価の負担も大きく効率が悪い先。販管費の配賦(管理手間等)が正しい場合、撤退も検討が必要。
B顧客:売上ランク2位。原価率がやや高いので、交渉可能か検討が必要。
C顧客:粗利、営業利益とも良好と考えている顧客。この「率」のまま、売上拡大を図りたい。
D顧客:粗利が一番良好な顧客。この「率」のまま、売上拡大を図りたい。
この二つの事例のように、売上を「商品群別」あるいは、「得意先別」などに分類して、カテゴリー別に「売上」と「利益」の貢献度や問題点を点検すると、経営改善と財務改善が進むでしょう。
なお、上表の原価(率)は、固定(率)ではありません。原価の金額が確定の場合では、売上「単価」を「値上げ」できれば「率」は下がり、「値下げ」で売れば「率」は上がることに留意しましょう。
ここまで述べたように「変動費」(仕入・材料)は、「販売する商材の原価」のみと考えて、「黒字化」するためには、「限界利益」を重視して、経営改善に取り組むこととなります。
※なお「変動費」は、「売上額」に比例するのではなく、売上の「数量」と「売価・原価」に比例しますので注意しましょう。
いかがでしょうか。キャッシュの理解と、決算書の大ざっぱな理解。そして、シンプルな収益構造の理解。これらの理解をきっかけとして、経営改善すべきポイントに「気付いて」はじめて、「これから何をすべきか?」に正しく取り組むことができるのではないでしょうか。
気付いたことの「改善」方法を検討して実行する。そのためのシートです。
社内で一緒に協議できるスタッフはいますか?