第三章 経営情報の共有と部下育成

さて、決算書(財務諸表)から考える経営実態の「気付き」の次は、「どうやって経営改善に取り組むのか?」について、「ヒト」の面から考えます。

1.経営改善を一緒に協議できるスタッフはいますか?

創業社長で「ワンマン経営」だったり、2代目社長が「先代の影響力」に縛られて指示系統が散漫になり、経営に関する重要事項が「社内共有」されていないケースは、多々あると思われます。しかし、その状況では、外部からのコンサルも有効に機能しづらいですし、何より内部からの自発的な改善意欲が抑制されてしまいます。

現代の経営環境は、「情報があふれている」「変化のスピードが速い」「コンプライアンス(法令遵守)は当然」など、どんな優秀な経営者であっても「独善的・秘密主義」では立ちいきません。

私の経験からも、「独善的・秘密主義」傾向の会社では、経営改善しようと取り組んでも、うまく機能しません。それを感じているためか、実は、経営者からの相談は「経営の数値」のほかに、社内の「人材育成の難しさ」が挙げられます。

(1)あなたに「右腕」あるいは「番頭さん」はいますか?

(2)いない場合は、なぜ「右腕」あるいは「番頭さん」がいないのですか?

(3)社内の「情報共有」は機能していますか?(「ナニをやるか」ではなく「ナゼやるか」が、浸透していますか?)

(4)何のために経営するのですか?

(5)従業員を大切にしていますか?

経営者のみなさん、いかがですか?

経営者が従業員を大切にするから、従業員がお客様を大切にする。

当たり前のことですよね。

「給料を払ってやってるのだから、言うことを聞け」の時代ではありません。

従業員育成や、互いの信頼関係の醸成は、会社に良い結果をもたらします。このことは、外部研修を受けさせることでは解決しません。社内の信頼関係は、社内の人間同士で創り上げていく必要があります。