今度はゴルフではなくソフトボール大会でした。独身行員だけでなく、家族を連れて参加する行員も多数いました。小さい子供たちを連れて、和気藹々とソフトボールを楽しむのです。
ルールも子供たちが楽しめるよう工夫してあります。終わったあとは、桜咲く木の下、ビール片手にバーベキュー。自分が野球をやっていたからかもしれませんが、普通に楽しかったです。
私服姿の行員を見て仕事以外の一面を発見するなど、銀行を身近に感じ、部の一体感が芽生えたようでした。先輩社員が暴力沙汰で警察にお世話になったことがありました。
その先輩、柔道やアメフトを経験しており体重が一二〇キロ以上ある巨漢なのですが、酒癖が悪く接待後に見ず知らずの方に手を挙げたようでした。
翌日支店にいくと本人と上司がおらず、ただならない雰囲気です。人事部を交えて何かヒソヒソしている日々が続きました。事情を知った私は、
「あーあ、これで先輩も銀行員生活終わりだな。家族がいて小さい子供もいるのに、この先どーすんだ」
と心配しましたが、そのあとも銀行に居続けることになりました。
「えっ、こんな事件起こしているのにまだ働けるの?」
さすがに酒席が多い現場から離れることにはなりましたが、銀行員生活を絶たれることはなかったのです。
「銀行って守ってくれるんだ」
コンサルに期待できない対応を見ました。私の現場経験は最初の二年だけですので、今の銀行の現場は想像するしかないのですが、あまり変わっていないと思います。
スマホやAIの普及など、テクノロジーの進展は目まぐるしいものがありますが、担当先に足繁く通い融資の要否をそれとなく聞いてみたりするとか、融資の承認を得るため支店長に稟議書を回付したりすることは今でも行っていると思います。
最新のテクノロジーを活用することにより店舗を構える必要なく金融サービスを顧客に届ける、なんて姿はまだ遠い気がします。当然、現場は残ります。
新人が現場体験を経てからそれぞれのキャリアを構築していく姿は変わらないのです。