夢
セブンイレブンの仕事は楽しかった。朝早くから、作業着のおっちゃんたちがたくさん来る。毎日働いていると、多くの人がいつも同じものを買うことに気づく。そのうちに常連さんが買うコーヒーやタバコの銘柄を覚えてくる。
レジに並ぶ前にタバコを用意しておくと、おっちゃんたちは上機嫌になる。
「お! ねえちゃんも朝早く大変やな」
とか
「(タバコがわかるなんて)さすがやねぇ~」
とか、たわいもない会話で元気をもらう。
「いってらっしゃーい!」
と私も自然と笑顔になる。そんな日は1日決まって気持ちよく過ごせる。ところがいいお客さんばかりではない。仕事がうまくいかなかったのか、店に入るなり不機嫌なおじさんがいた。「エコー」ぼそっとレジでおじさんはつぶやいた。タバコの銘柄だろうが、私も全部は把握していない。探すのに時間がかかってしまい、ついに、「タバコの銘柄くらい覚えとかんか!」と怒鳴られてしまった。
タバコの銘柄……覚える必要あるのか? 何だか理不尽な気がした。コンビニの仕事にやりがいは感じていたし、楽しかったけど、そんなことを経験するうちに、やっぱりこのままじゃ嫌だ。夢を追いかけたいという気持ちが強くなっていった。