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人身御供ひとみごくうが来た! 「ねえ、君」のゲーム

どのように解決したらよいのか

さあ、このゲームはどう解釈すればいいでしょうか? 状況は、【事例3】と極めて似ています。しかし、【事例3】は、事業部が「何でも言いなさい」というゲームを仕掛けてきたもので、私に提案をさせて、もしも、その提案が良かったならば横取りしようと企んだのでした。

この事例では、私は当初から「1日16バッチまでできる」と公言していましたので、提案が最初から存在していたという点で、【事例3】とは異なることがわかります。

実は、このゲームは「ねえ、君」と呼ばれるゲームなのです。これは、親しい間や仲間内ではどんなこと(失礼な発言や態度など)でも許されるという点を利用するゲームです。

例えば、会社で毎日顔を合わせている女性社員に「ねえ、君、最近化粧が派手になったねえ。いい人でもできたの? いや、冗談だよ。冗談。ハハハ」などと、軽口めかして話しかけるケースなどが挙げられます。冗談と言っていますが、実はその裏には、悪意が隠されていることも多いのです。

さて、私の事例を見てみましょう。私は1年間かけて、そのプラントのデータを採取したわけですから、その運転課の課長、製造班長、技術班長も当然よく知っている間柄でした。これを逆手にとって、課長は「よく知っている間だから、どんな無理を言ってもいい」という「ねえ、君」というゲームを私に仕掛けてきたのです。

しかし、そこには、やはり罠が潜んでいました。うまくいかなかったら、すべての責任を私に押し付けよう、一方、うまくいったら、すべての功績を横取りしてやろうという罠なのです。

このゲームも、会社などの組織のなかでよく見られるものです。同じ職場の人とは、毎日顔を合わすわけですから、どんな人であっても、ある程度は自然に親しくなるものです。その「親しさ」を利用して、面倒なことは押し付け、自分に有利なことは横取りしようという悪意に満ちた行為が、この「ねえ、君」というゲームを使って公然と実施されるわけです。

この「ねえ、君」というゲームは、親しいから多少の無理も言える、というところを利用して、悪意ある「無理な要求」を押し付けてくるものです。