大学時代
オーストラリアの現地高校に通うようになり、大学進学を検討し始めた頃、日本の大学に進むか現地の大学に進むか、親と相談しました。「どうせ留学したんだから、どっぷり浸かってこい」という意見に私も異論なく現地大学への進学を決めました。親から離れた暮らしは寂しくも何ともなく、つらいことがあってもラグビーに比べたら何てことはないと思えるようになっていたのです。
ある時、大学進学を希望する生徒を対象に、シドニー内にある各大学を見学する機会が与えられました。当然、大学で何を勉強したいのかクリアにする必要がありますので、何の勉強がどこの大学でできるか調べたところ、シドニー大学にだけ考古学があることに気づきました。幼い頃、インディー・ジョーンズの映画を観て興味を持っていたのです。
こうして訪れたシドニー大学ですが、メインの建物となるGreatHallやTheQuadrangleのアカデミックな姿を見て深く感動しました。大学は高校とは違い、何か深遠な真理を探究するような神聖な場所と勝手に思い込んでいましたので、イメージとぴったり合ったのです。そして「何が何でもこの大学で勉強したい」と強く願うようになりました。恋におちたようなもの、雷が落ちました。
それからは、現地の高校を退学し、留学生用に開かれたシドニー大学進学用のFoundationCourseに入り直し勉強することになりました。日本の高校を退学、現地の高校も退学、正直に履歴書を書くと長くなり理解されそうにないので、現地高校卒と書いています。学歴詐称でしょうか。
いざ入学に向けて本格的に勉強を始めると、学部によって求められる学力に差があることに気づきました。一番難しいのは医学部と法学部、その次に経済学部、当初専攻する予定だった考古学はそれほど難しくないことがわかったのです。すると、興味の対象が考古学から法学部や経済学部など、より難しい方にチャレンジすることへと変わってきたのです。
周りの留学生に刺激を受けたのも大きかったと思います。中国、韓国、香港、ベトナム、台湾、タヒチ、バングラデシュ、南アフリカなど、様々な国・地域から集う学生は、日本では見ることができないほど積極的で多様な考えを持ち、国・地域を代表して勉強する気概に満ちていました。
タヒチ出身の豊満な女子生徒からお家に招待され、中華料理をご馳走になった時のこと、バナナをご飯代わりにして食べることに驚くと、「タヒチではこれが普通」と言われ「お前のうちだけじゃないのか?」と疑ってみたり、台湾出身の美しい生徒から「シェアハウスで一緒に生活しない?」と誘われドキドキしたり、香港出身のお姉さん達から「ねぇねぇ、エッチな日本語教えて。日本ってそういうの進んでいるでしょ」と言われ困惑したり、様々な体験ができました。日本人であるというだけで結構信用されていたと思います。先人に感謝します。