ステージ2 「面白そう」から仕掛けてみる
ステージ2で考えること
前章では、「やってほしい」ことそのものを深く考え、曖昧なまま決めないことの重要性について説明しました。この章では、せっかく考えた「やってほしい」ことに、興味を持ってもらう話を進めていきます。
懸命に「やってほしい」こと〇〇を考えたのだから、そのまま提示して、お子さんがやる気になるのを待つのも手ではありますが、本書では親御さんが自発的に仕掛けることを前提に進めていきます。
自らコントロールを試みることで、その楽しさも見えてきます。
お子さんに「やってほしい」○○の核「コンセプト」が決まり、それが一生懸命に考えたものだとしても、お子さんに興味を持ってもらえなければ次につながりません。
では、実際に何をすればいいのでしょうか。「○○は面白いよ、やってみなよ」と伝える? それも良いかもしれませんが、そう簡単ではないと考えます。
なぜならば、親御さん自身が「面白い」と思っている映画やドラマ、本などを、他人やお子さんに上手く伝えることさえ難しいと思われるからです。
そこで提案したいのは、いきなり「面白い」ではなく「面白そう」から提示してみることです。つまり、実際にやってみてから感じる「面白い」ではなく、いますぐに感じられる「面白そう」を伝えること。このほうが話を前に進めやすいです。
この「面白そう」はゲームでも大事な要素です。「ゲームは娯楽なんだから『面白そう』なのは、あたり前でしょ?」と思われるかもしれませんが、本当にそうでしょうか?
お子さんのやっているゲームは、やみくもにゲームだからと手を出してやり続けているわけではなく、何かしらの興味を引かれて手に取っています。
ゲームに限ったことではありませんが、さまざまな娯楽のなかから選ばれるには、瞬時に興味を引かないとよそを向かれてしまいます。まずは手に取ってもらうための工夫が機能していなければ、支持はされないのです。
とはいえ、ゲームはどうとでも「面白そう」につくれるけど、親が子に「やってほしい」○○の内容はつくり変えられるものではないし、子どもにとっては面白くないものがほとんどなのだから話に無理がある、と感じることでしょう。
ただ、ゲームは「面白い」ものを目指してつくりますが、「面白そう」からつくり始めることはしません。
多くの人に「やってもらう」以上、きちんと遊べるものをつくってから、それがお客さんに届くように宣伝やパッケージ、導入部を入りやすくするなどの工夫で「面白そう」に見せていきます。
見かけが良いだけでは、夢中になって遊んでもらえないことはわかっているからです。
つまり、「面白い」という中身から「面白そう」という印象が探れるので、「やってほしい」○○と考える順番は同じです。
すでに持っている「面白い」を「面白そう」に見せるための手法として、ゲームでの代表的な例はスポーツやレースゲームがわかりやすく、大きく二つのタイプがあります。
一つは、最新の技術でつくられた精巧なグラフィックやシミュレーションを組み込んで、ひたすら「リアルに近づく」タイプ。もう一つは、本物を体験しているかのように錯覚させる工夫を凝らした「〜のようなもの」タイプになります。
ゲームのコントローラー一つとってみても、家庭用の簡易版からゲームセンターにあるシミュレーターのような本物に近いものまで幅広くあります。
家庭用コントローラーも時代の移り変わりで変化しているため、その種類はさまざまです。
大事なポイントは、この二つのタイプはどちらも受け入れられていて、どちらが上でどちらが下のような格付けを受けていない点です。
そのものが持つ「面白い」をどうやって表現するか、どう「面白そう」に見せるかを突き詰めた結果だと考えます。
ゲームの解説本ではありませんが、ざっくりとした例を挙げてみます。