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派遣社員

そんな大事件を起こしながらも高校はなんとか卒業できた。これには母が一役買ってくれた。

被害者家族とは示談になり、そしてその支払いは母がしてくれた。高校からは退学通知が届いたが、これも母が学校に出向き、公的に無罪になったのだから退学は不当だ、と申し出てくれた。これが正しいことかどうかは別として、裏切り続けた娘にここまでやれる母がなんだかかっこよかった。

母もこの頃から少しずつ私という人間を理解してくれ始めたようだ。高校卒業後はすぐに派遣会社に登録し、フルタイムで毎日働いたのだが、帰宅してからは以前のような干渉は軽減されており、家族の一員として家にいさせてくれた。仕事で疲れて帰ってきて、夜出歩く回数が自然と減ったことも母にとって良かったのかもしれない。

私が登録した派遣会社は毎日違った仕事を提供してくれた。当時普通のアルバイトは時給600円台だったが、派遣で行くと1000円近くもらえた。最初に派遣された工場ではひたすら充電器を袋に詰める。流れ作業だから、ちょっと遅れると間に合わない。ハラハラドキドキの作業。

高時給でもあり、私は楽しく働いた。仕事が楽しいと思えたのは、仕事自体が毎日違っていて飽きなかったこと、時給が高かったこと、家庭内が安定してきたことが関係していたように思う。