俳句・短歌 短歌 故郷 2021.11.25 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第81回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夜が明け白灯淡く立ち尽くす 水銀灯に心照らされ 人生に良い助手得るは至宝也 ウェストンを知り感涙流す 寒冷を緩めながら咲いている 花紅一点の数本の花
エッセイ 『プリン騒動[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 風間 恵子 「そんなプリンなんか作ってないで、早くメシのしたくしろ!」台所で一挙手一投足に怒り狂う義父。言葉の暴力が鉛となって心臓を突き抜けた。 ある晩のことだった。三人で、夕食のしたくをしていた。この三人と言うのは、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)・嫁すなわち、私の事である。台所は女の神聖な場所と考えられているのではないか。しかし、この家では、舅が当たり前のように立つことが多い。自分が調理したものは自慢をするが、人の作った料理は決して、美味しいとは言わない。逆に貶す事に喜びを感じるタイプである。野菜の切り方から、味つけまでを一つ一つ指摘…
小説 『雲海のエガミ』 【最終回】 こた 「その子を置いていけ」彼女は這いながら叫んだが、海賊は既に見えなくなっていた。やがて彼女は腕の中で動かなくなり… 海賊は笑いながら自分達の剣を抜き、三人の内の一人の海賊がチナンに向かって行くと、あっさりとチナンに首を切られ倒れる。残った二人の海賊は顔を見合わせ、肩に背負っていた意識のないアッカトを地面に降ろし、眼つきを変え、構えを替えた。「ラ・エンカ走れ!」チナンは、そう指示を出した。その直後、海賊の二人は同時にチナンに向かって行く、チナンは防御と攻撃を繰り返し、一人に胴体に深手の傷を負わせ倒すが、もう一人…