YouTuber あこちさん

川崎 俊(以下、川崎)今回の対談のお相手は、過眠症患者初のYouTuber あこちさんです。

あこち どーも、ちっぱいです。よろしくお願いしまーす。

川崎 よろしくお願いします。ついにリアルで聞くことができましたー。今日はYouTuberとしてのお話しを伺っていきますね。さっそくですが、あこちさんはナルコレプシー2型と聞いていますが、発症してからどのくらい経ちますか?

あこち 発症年齢はおそらく十四歳です。定かではありませんが。二〇一九年の三月に検査結果とともにナルコレプシー2型の診断がつきました。

川崎 発症から診断までがけっこう長いですね。となると、病気と分かっていたらそんなことにはならないのに……って感じのエピソードとかありそうですね。

あこち 一番古い記憶が十四歳で、古文の授業。ノートの文字がミミズのようにぐにゃぐにゃで書かれていて、その時寝ていたことに目をつけられて、先生に「古文なめんなよ」と怒鳴られた記憶が頭から離れません。

川崎 授業のエピソードはやっぱりリアルですね……。病気と分かっていたら対応も変わっていたでしょうし……。発症して間もない頃の話だと、けっこうトラウマ級というか……。

あこち あと、十七歳くらいの頃に若気の至りでオールでの遊びに誘われ、眠いのを理由に何度か断ったのですが……。断りきれず遊びに行ったら、深夜にうとうとしてる間に告白を受けていて、知らない間に彼氏ができていました。確かすぐ別れました。

川崎 ヤバイ、それは面白い。お酒を飲みすぎて〜とかはよく聞いても、ウトウトしすぎてはレアですよ。自動症(※動いたまま眠ってしまっている)で、動いてはいたけど寝てて、気づいたら勝手に返事しちゃっていたんですね。その男の子も、なんかオカシイな?って気づかなかったのかな?

あこち 多分そうですよね。気づかなかったのかな〜?

川崎 きっとすごく付き合いたかったんですね。あこちさんはYouTubeをやられていますよね。何がきっかけで始めたんですか?

あこち そうなんです。病気を友達にカミングアウトした時に「同級生にそういう子が一人いたな……」って言う子がチラホラいたんですね。いつも学校で眠そうにしていた「その子」は今どうしてるかな、大丈夫かなって思っちゃったのがきっかけです。

川崎 僕が調べた時には、既にあこちさんの動画がいくつかUPされていましたよ。そういえば、診断がついてからYouTube始めるまですぐじゃないですか?

あこち そうですね。実は私の居眠りがナルコレプシーかもしれないと知人に言われたんですよ。慎重派の私はネットで三ヶ月くらいずっと過眠症について調べ(あさ)りました。その時、専門用語の多さや、同じ内容しか書いていなくて「本当に私は過眠症なの?」と疑ってしまったことがありました。

また、そういった情報のほとんどが文章だったんです。仕事や家事の合間にスマホの画面にかじりついて調べるんですが、眠くて寝てしまって……。気になって睡眠時間が確保できなかったりと、まるで負のループでした。

川崎 確かに数年前までは、専門機関や患者会の情報が多くて、ブログでの情報が唯一の当事者情報でしたよね。専門用語で説明されても、意味分からなくて眠くなりますね。当事者のブログはブログで、文字ばかりで眠くなるのも分かります。

あこち せめて家事をしながら、当事者の話が聞きたくてYouTubeで探したのですが、お医者さんが話す動画しかなくて、ヤキモキしたので「なら私がやる!」とほぼ半ギレで「動画」というコンテンツを選びました(笑)。

川崎 お医者さんが話す動画ね。ためにはなるけど、あくまで当事者じゃないですからね。じゃあ最初の動画は半ギレで撮影したものだったんだ。これまでの反応はどうですか?

あこち 反応は良くも悪くもあります。応援してもらうことの方が多いですが、たまに心無いことを言われたりもします。

川崎 女性だと、顔出しってそれなりにリスクもありますもんね。わざわざ、悪口言う人は見なければいいのにね。