総需要拡大効果
健康な中間層の厚みを増す効果
中間層は、政治的には民主主義の担い手であり、社会を安定させる役割を果たしてきた。ところが、総務省「家計調査」2017年分によると、40代未満とりわけ30代未満の消費が減少しており、若年・子育て世代の消費が減少していることが全体の消費を押し下げている(日本経済新聞2018年2月27日付)という。
東京都のホームページ「東京くらしWEB」によると、自分のことだけでなく、自分以外の人や社会、環境のことを考えて未来に向けて行う消費行動を「エシカル消費」という。
ある程度、経済的な余裕がある中間層は、買い物で品物を選ぶとき、価格、品質、安全性のほかに、それがどのようにしてつくられたかといった背景や、それを選ぶことで世の中にどんな影響を与えるかを考慮することができる。BIがあれば、私たちはこのような消費行動にトライしやすくなる。
中間層は、再生産を維持できるような価格設定のため価格が少々割高であっても、輸入品ならフェアトレードの商品を、エネルギーなら再生可能エネルギー由来の電気を、木造住宅なら国産材を使用した住宅を、伝統工芸品や職人が手づくりした道具や家具を選ぶ余裕を持てる。
また、化学繊維ではなく自然素材で、染色の工程で使い汚染された水の量やプラスチックの使用量が少なく、製造、流通でのCO2排出量や売れ残りの廃棄量等も少ない衣類や繊維製品を選ぶ人が増える。また、自家採種し、有機農法により育てられた地元産の農産物を選択するような中間層の厚みが増す。