また、ミトコンドリアの機能低下は、現代の抗加齢医療の中心となっているフレイル(加齢によって運動機能や認知機能が低下して虚弱となった状態)や、サルコペニア(加齢によって筋肉量が減少し、筋肉や身体機能が低下している状態)と深く関わっているので、脳機能の低下の一部である「もの忘れ」、「ワーキングメモリーの低下」や、「筋力の低下」などを引き起こす要因にもなります。
さらに、ミトコンドリアの機能が低下すると多くの活性酸素を同時に発生させてしまいます。
体内で過剰に発生した活性酸素は、細胞を攻撃(酸化)するために生体機能を低下させ、老化や肌荒れをはじめ、さまざまな病気を引き起こすことがわかってきています。
要するに、ミトコンドリアの機能低下が、私たちの健康にとって、いかに脅威であるかということですね。そこでPQQの登場です。
PQQには細胞内のミトコンドリアの数を増やす作用があるとともに、ミトコンドリアに直接はたらきかけて活性化を引き起こすだけでなく、弱ったミトコンドリアの活性酸素を取り除くはたらきがあります。
さらには、抗酸化や神経保護、神経成長促進効果などもあることがわかっています。海賊版が出回るほど注目されている大きな理由は、こんなところにあるのではないでしょうか。
PQQがミトコンドリアを活性化するメカニズム
では、PQQはどのようにしてミトコンドリアを活性化するのでしょうか。少し専門的になりますが、そのメカニズムをここで簡単に説明しておきます。
ブドウ糖からエネルギーを作り出す経路(解糖系→TCAサイクル→電子伝達系)は、経路から枝道となるルートに逸れてしまい、結果として有効にエネルギー産生に結びつかない場合があります。
解糖系で作られたピルビン酸は、ある状態では疲労感の原因とされる乳酸に変換されてしまいます。
そのような状態でPQQを与えると、ピルビン酸から乳酸に抜けてしまう反応は逆方向に進み、乳酸からピルビン酸に戻す反応が進んで、その結果エネルギー産生の反応に流れを戻すことができます。
つまり、PQQは乳酸からピルビン酸への代謝を促すことで、ピルビン酸がミトコンドリア内へ移行することを促進し、その結果、ミトコンドリアを活性化するというわけです。
ミトコンドリアが活性化すれば、当然、エネルギーも活発に作り出されるので疲労回復や代謝亢進作用が期待できますね。
だとしたら、PQQはトレーニング時のサプリメントとしても有用と考えられるので、アスリートの方たちにもおすすめできそうです。