高校生(私立高校)

高校受験では私立高校しか受けなかった。当時の公立高校には冷暖房がなかったのが理由だった。

私が通うことになる偏差値50ちょっとの進学校である女子校の受験の日。まともに授業を聞いていない私が試験問題を見ても解けるはずもなく、開始5分である程度終わってしまった。もちろん空欄だらけ。どうしてもその高校に行きたかったわけではなく、みんなが高校に行くから受けているだけだったので、試験に落ちることに対する不安は全くなかった。

とはいえ、あまりに時間が余って暇なので、六角形の鉛筆のそれぞれの面に自分で番号を決め、鉛筆を転がして答えを書くことにした。三菱マークの面が出たら(1)、その隣の面が(2)、その隣が(3)、三菱マークと反対の面が出たら(4)、という具合に。正誤問題であれば三菱マークとその両端が〇、それ以外が×だ。

そしてなぜだかわからないが、変な偶然が私を合格させてしまった。

高校入学当初、なめられてはいけない、とちょっと不愛想に過ごしていた。そのせいか、近寄ってこない人が多かったが、何人か話しかけてくれた。

1番印象的だったのはあや。キラキラとした目とかわいい声の持ち主で、私の言動や持ち物に興味を示していた。後に再会した時、「あの時、風子に憧れてたんよ~。なんかかっこよかった!」とお褒めのことば? をもらった。

彼女も苦労が多く、なぜか頼ってくれたので、相談に乗ることも多かった。彼女の優しいオーラのおかげか、その後は少しずつ友達も増え、学校生活を楽しめるようになった。

家庭環境は相変わらずであり、私はまた少しずつ荒れ始めた。お金がないので、昼食は友達にちょっと圧力をかけて奪ったり、食堂のごはんを勝手に食べたり。次第にまともな友達は私から距離を置くようになった。

夜は出歩くことが多く、昼間やたら眠いので、授業中は完全に睡眠時間だった。そのうち学校に行くのも面倒になったが、朝は母に無理やり家から出されるので、学校に行きたくない日は電車で山口県の下関から熊本県に近い大牟田まで、行ったり来たりしながら睡眠をとったり、折尾駅のミスタードーナツで友達とズル休みして楽しんだりしていた。ルールを守ることが苦手、というより、破ることが好きだったような気がする。