俳句・短歌 介護 母娘 短歌 2021.10.15 「最後まで人」より3首 最後まで人 介護ひとり百十一首 【第2回】 詠み人しらず 登り坂もしもし亀に抜かれても 二人三脚行けるとこまで 母との日々を五・七・五・七・七の音に乗せて綴った、切なくも心温まる短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 原因のわからぬ病と医師は言い 四十路よそじ半ばの波乱幕開け 治したい! 最初は徹底抗戦で 努力重ねて治療に明け暮る いと悲し病もねばるついて来る 頭切り替え旅は道連れ
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『羊を食べ尽くした男 中国仏教衰微の日』 【第17回】 山亀 春久 「屋敷を守ってくれ」長安を離れるという主人。妻は着いていきたいと言うが… 首を垂れ目立たぬ部屋の隅に控えていた春鈴が、慌てて酒器を手に李徳裕の横に立ち白い濁り酒を盃に注ぎ入れ、直ぐに部屋の隅に下がった。「どちらへ行かれてしまうのですか」と、横に座す劉氏の不安の目が向けられた。「心配するな」「そのように言われても、私には殿の身を按じることしかできません」「暫くの間だ、劉氏の顔が見れぬのは、寂しいが……」笑顔を作って盃を口にしたが、李徳裕の胸の内は何も知らぬ年若い敬宗を陰…