中一ギャップ
公立中学校では、多くの子が運動部や、熱心に指導されている吹奏楽部などに入っていきます。四月の最初こそ一年生は活動時間も短く午後五時には下校させる形でも、五月からは午後六時三十分まで、六月からは午後七時までということになってきます。
その間、体力はというと、それほどすぐに中学三年生と同じレベルに上がるわけではありません。
顧問は経験上どれくらいのきつさまでできるか、またどれくらいやれば後々効果が上がるかを知っているので、生徒の体調の悪いときに無理をさせなければトレーニングで死ぬことはありません。しかし、勉強は別です。子どもたちは部活のあと家や塾で勉強するのですが、何人かは、もうその体力が残っていません。
一方では、「それでOK」と思う人がいるでしょう。きつくても乗り越えるしかないという考え方です。他方、「それはないだろう」という考えもあります。勉強は将来の暮らしに直結するのだから、勉強できないほど部活をさせるのはおかしいのではないかという考えです。
ただ、この疲れ具合には個人差があるので、部活をやりたい先生に言わせると「休んでもらって結構です」ということになります。でも、そうすると部活への参加評価が低くなります。部活コミュニティから外される懸念。それを避けたいとなると、どうしても部活を優先することになります。
したがって、部活をしっかりとやらせようと思うなら、疲れて勉強に影響が出ることがないように、十分な学力を蓄えさせておかなければなりません。そうしないと、かわいそうなことになります。これは珍しい話ではなく、よくある一般的な話です。
小学校の通知表の評価がとても甘いことは、みなさんご存じかと思います。小学校では小学校の学習指導要領に基づいて教育課程を組み、それに基づいて評価をしているだけです。それにまちがいはありません。ただし、小学校では中学校で通用する学力をもっているかどうかの判断をしているわけではありません。
したがって、現実的には、小学校段階で塾に行かないことにはわからない「中学校で通用するかどうかという観点での学力の現実」が別にあるのです。