財源の検討2 税制改正
次に取りかかるべきは税制改正である。
消費税率を10%から20%に引き上げることで約25兆円の増収、さらに、個人金融資産への課税で、18.9兆円~37.9兆円を確保したい。短期保有で売買を繰り返すキャピタルゲインに対する課税も強化したい。
デフタ・パートナーズグループ会長で日本国政府内閣府参与、政府税制調査会特別委員等の経歴を持つ原丈人によれば、アメリカでは1年以内の株式売買に対する課税は最大39.6%+地方政府税である(『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』原丈人 文藝春秋 2017年)。
相続税については、戦略系コンサルティングの第一人者として活躍する波頭亮によると、その税収額は毎年わずか1.5兆円程度(個人資産の0.07%)でしかない。
波頭によれば、毎年の遺産額を金融資産18兆円、不動産10兆円とすると、相続税負担者のカバー率と実効税率を上げて遺産額の50%を相続税として徴収することができれば、税収として毎年14兆円を見込むことができる上に、階層固定化の解消にもかなり効くとしている。
波頭の試算では、消費税率15%アップ、金融資産課税1%、相続税の実効税率50%とすれば、消費税で33兆円、資産課税で14兆円、相続税でも14兆円、つまり合計で61兆円の財源が確保できる(『成熟日本への進路「成長論」から「分配論」へ』 波頭亮 筑摩書房 2010年)。
なお、BIによる支払については、消費税を非課税にするか軽減すべきである。
ただし、その場合、最終の川下に位置する小売店等には、消費者に転嫁できなかった消費税相当額を還付する必要がある。
消費税が法人税や源泉所得税と異なっているのは、納税義務者が、その納税分を外部から預かることとされていることである。
そこで、BIで購入される場合には、価格転嫁不能額が還付されるようにする。