財務省ホームページの「消費税の使途に関する資料」の「消費税の使途」によれば、税率が10%である2020年度予算ベースでは、国.地方分を合わせた消費税収は27.5兆円であるから、消費税を20%に引き上げると少なめに見積もっても25兆円ほどの税収増が見込まれる。

したがってたとえば、消費税を20%に上げた場合、BIの給付額総計が60兆円で、その分の消費にかかる消費税率を0%とするなら、小売店等にとっては、

売り上げで預かった消費税額60兆×0%=0円

支払った消費税額60兆×20%=12兆円

納付すべき消費税額(還付)0-12兆=-12兆円

であるから消費税増収額25兆-12兆=13兆円となる。

一方で、輸出企業は輸出する商品や商品を製造するための部品等を仕入れた際、既にその対価とともに消費税分の金額は支払い済みとなっている。

そのため、仕入れた商品やこれを材料に組み立てた製品を国内で販売する場合は、消費者から受け取る消費税分から仕入れのために支払った消費税分を差し引いて納税するのである。

つまり「仕入税額控除」として、輸出の場合はゼロ税率が適用され、輸出企業が仕入れのために支払う消費税分はほとんど還付されている。

その額について、時事、社会、経済、教育問題等で発言するジャーナリストの斎藤貴男が、政府の予算書をもとに試算している。

それによると、概算で、まだ税率が5%だった2008年度における消費税の還付総額でも約6兆6700億円であり、この金額は同年度の消費税収16兆9829億円の約40%に相当しているという(『決定版  消費税のカラクリ』 斎藤貴男 筑摩書房 2019年)。

したがって、輸出企業に還付されるのは、消費税10%の場合は10兆円超、20%の場合は20兆円超となるはずである。

これに対し、消費者に転嫁できなかったために小売店等に還付すべき金額は先ほど示したとおり、約12兆円である。

つまり、輸出企業に対し仕入税額控除を認めず還付をしなければ、小売店等への還付による消費税収の減少分を十分にカバーできるのである。