2.適度な運動をする

ふだんあまり運動をしない人が、ジョギングなどを始めると、当初はしんどいけれども、だんだんしんどさが軽減されてきます。

これはミトコンドリアが増えたことによってエネルギーの産生が増え、エネルギー代謝が高まるためであるとも考えられます。

ミトコンドリアはエネルギーをつくり出すことが仕事ですが、残念なことに、エネルギーはいくらでも豊富につくられるわけではなく、体にとって「必要な量」しかつくられません。

ですから体を休めてばかりいると、「なあんだ、エネルギーはあまりいらないのか」とばかりに、体はミトコンドリアの数を減らしてしまい、体は弱くなっていきます。

体力をつけるためには、使うエネルギーの量、つまり運動量を少しずつ増やしていくことが大切です。

運動は余分な脂肪を減らすだけでなく、筋肉のミトコンドリアを増やし、エネルギー生産能力を高めるのに役立ちます。また、適度な運動を続けていると筋肉量が増え、血行が良くなり、体温も上がります。

結果として自律神経のバランスも整い、免疫力の上昇にもつながります。

ただ、運動をすることによって、どうしても活性酸素は生じてしまいますが、同時に活性酸素を消す酵素も増えるので、適度な運動は長寿をもたらしてくれます。

3.筋力を鍛える

筋肉細胞にはミトコンドリアが豊富に含まれていますが、年をとると筋肉量が減っていきます。

加齢にともなって生じる骨格筋量と骨格筋力の低下を「サルコペニア」といいます。サルコペニアになることによって、転倒して骨折してしまうことも考えられ、それが原因で寝たきりになってしまうこともあります。

サルコペニアにならないためにも、ジョギングやスロースクワットなどで筋力を鍛えることが大切です。もっとも効果的にミトコンドリアを増やすには、少しきつめの力(筋肉の80%くらいの力=筋肉痛が生じないくらいに頑張った力)を出すことです。

ウォーキング程度の運動は、有酸素運動として脂肪を燃やすには適切なのですが、ミトコンドリアを増やすにはあまり適していないと思われますので、同じウォーキングでも強弱をつけるなどの工夫が大切です。

ミトコンドリアは背中の筋肉細胞に多く含まれているので、背筋を伸ばした姿勢を維持しているとミトコンドリアの数が増えるといわれています。