一生懸命 私、いつでも恋してたい

一生懸命になれるのって幸せだ。

寝食を忘れるほど夢中になれることに出逢えるなんて一生のうちに幾度もない。探そうと思って見つかるものでもない。恋に落ちるようにストンとはまる。今私は書くことに夢中。

そして20年前のそれは天然酵母パン作り。今回の「私書きたい」と同様その時も突然降りてきた。

「天然酵母パン焼きたい」

それまでもイーストを使ってパンを焼いたことはあったけれど、あまり美味しくできなかった。

お菓子作りには自信があったので悔しかったが、自分にはパン作りは合わないのだと諦めていた。

そんなある日、パン作りの料理本の後ろの方に、天然酵母パンを焼くおばあさんを紹介するページがあることに気付いた。その本は以前から持っていたものだったのだが、その日に限ってそこを読みたくなった。

割ぽう着姿で正座をしてパン生地を手のひらに載せ微笑むおばあさん。「生地と話しながら、育てるようにこねている」というところを読んだ時「私もこれやってみたい」。そしてすぐに行動開始した。

自然食品を扱う店で「ホシノ天然酵母」を買い求め自己流で焼いてみたら、すごく美味しかった。一回ではまって虜になった。

フリーズドライの酵母を倍量のぬるま湯で溶いて、2日ほど室温に放置しておけば酵母は出来上がり。濃い「どぶろく」のような感じで、匂いはまさに日本酒。

私の大好きなお酒の匂い。あとは強力粉と砂糖と塩と水と一緒にこねるだけ。半日から1日放置しておけばゆっくり発酵する。それを好きな形に形成して最後にもう一度発酵させて焼くだけ。

家中に幸せな香りが漂い、ホカホカの焼き立てパンにかぶりつける。それは最高に贅沢な瞬間。

私がはまった理由はその美味しさと簡単さ。イーストパンはタイミングが命。時間を厳守しないと美味しいパンを焼くことはできない。