良妻賢母 女の人生いろいろ
最近あまり耳にしなくなった言葉。女性蔑視的な響きがあって好きじゃない。一昔前であったら、つつましく、おしとやかで控えめで、出しゃばらず三歩下がって旦那様をたてる。「さだまさし」の『関白宣言』の世界感。そして、子どもたちに旬の食材を使った栄養のある手料理を用意し、家を清潔に整え、宿題を一緒に見てあげて、優しく時に厳しく諭し育てるお母さん。エプロンが似合う柔らかな印象の、いつも元気で笑顔を絶やさない女性。
現代では随分と様変わり。夫から見て良妻と言えばちゃんと稼ぐ妻である。
結婚しても仕事を続け自分より少しだけ控えめに、でも家計の足しになるようにしっかり稼ぐ妻。「寿退社」なんてもう死語で、結婚しても女性は仕事を辞めなくても良くなった。いや辞めたくても辞められない。どうしても仕事を続けられない場合でも、割の良いパートで働き、それに加えブログやメルカリを駆使して小銭を稼ぎ、ポイントやマイルの貯め方を工夫する賢い妻。
夫の言うことは聞くが、経済的には依存せず、少しでも多く貢献することが出来る女性。それが現代の良妻の一つの条件。専業主婦は「絶滅危惧種」になってしまった。
そして賢母といえば、「情報通」なお母さん。妊娠中からママ友の人脈やネットやサイト、あらゆるところにアンテナを張り巡らせ、コスパの良い保育園、幼稚園、習い事、塾を探し出す能力に長けているお母さん。良い子、できる子、お受験に強い子を育てるために、奮闘するお母さん。ママチャリに子どもを乗せ、雨にも負けず風にも負けず寒い日も暑い日も、保育園と職場と買い物とお稽古事と家、四方八方走り回るスーパーウーマン。これぞ賢母の鑑。
そんな役割なんて誰にでもこなせるものではない。
「イクメン」の夫の助けが少しはあるものの、毎日、孤立無援で綱渡りの生活を送っている現代の健気な良妻賢母たち。うちの娘3人には、とてもこなせない荒行だ。