千載一遇 チャンス頂きました

私が本を書く。その本が出版される。

これぞ千載一遇の機会、夢のようなビッグチャンス、「有り得ない夢物語」のはずだった。しかし今実現しようとしている。でもまだ半分信じていない。狐につままれたみたいと思いながら、とにかくやるしかないと書いている。

それは突然だった。忘れもしない三連休明けの11月5日の朝、急にひらめいたのだ。「私、本書きたい。私の本を出版したい」。まだ早朝5時のこと、布団の中で寝ぼけていたのだろう。

いつもの「小料理屋やりたい病」が再発し「どうしたら店開けるかな~、無理だよな~、そんな資金無いしな~、どうせ儲からないだろうし出来ないよな~」と、うだうだしていた時、「そうだ、店じゃなくて本書こう!」と突然思いついたのだ。

余りの脈絡の無さに笑えるが、その時私は大真面目。

即効スマホに「本の出版」と入力した。すると一番先にヒットしたのが幻冬舎ルネッサンス新社のサイト。

そこから15分、「原稿が無ければ構想だけでもお送りください」というフリーフォーマットの欄に、打ち込む打ち込む自分の思いを。4人の子育てに両親の介護、嫁姑問題、バイト話、友達のこと。

小料理屋をやりたいが出来ないで悩んでること。「遺書を書きたい」と娘に話したら、早く書いてと言われたこと。どうせ一方通行のメールと思い、思いつくままを書きまくった。

一通り全部思いを吐き出し「最後までお読みくださって感謝します」と最後を締めくくり送信した頃には、さっきまでの憂鬱な気分は嘘のように晴れ、爽快感すらあった。そして「書いた書いた。さあ弁当でも作るか」と起きだし朝の支度を始めた。

そこからが予想外の展開のスタート。とんとん拍子に話は進み今に至っている。

熱しやすく冷めやすい私のこと、早く書いてしまわなければまずい。鉄は熱いうちに打て。急いで書かなきゃ本当にヤバい。やっぱり夢で覚めちゃうかも……。ぐちゃぐちゃ考えながらも原稿を一か月半で書き上げた。