柔軟思考で企画を再建
「マジョリティ、マイノリティ。この二極化が進んでいない今だから提唱するけど、私は方向性を再検討する必要があると思う」
誰かの意見だが、皆の意見のようにも聞こえた。
正直、企画の中心人物である海堂自身も、英断をすべきでは?という思いは、頭の中に既にあった。
では、どんな企画が自分たちを活かすのだろう?
例えば、一角獣の『大迷惑』。オーケストラを完全再現するという企画は面白いし、バンド単体では細部にこだわるのに多少の限界がある。だから、挑む価値がある。
ただ、唄はどうするか?という問題に焦点が集まったとき
「ここまでこだわったから奥寺の声質に合った人物をメンバーから選出しよう」
「あえて女性ヴォーカルを起用して、私たちらしさを垣間見せる仕様はどうかしら?」
2つとも採用したい、しかし、それでは優柔不断。
ただ、解決法もあるにはあって、男性ヴォーカルのTake、女性ヴォーカルのTakeをそれぞれ録音して、リスナーに聴き比べてもらう……これ自体が既に新企画ではないか!
男性:male 女性:female
例えば5曲、演奏候補にあがった楽曲があるとする。「コピリニクス」のメンバーは、全力で演奏に打ち込む。
男性ヴァージョン5曲、女性ヴァージョン5曲をそれぞれ歌唱してもらい収録。
レーベルに送ったり、動画サイトに投稿したりして世間の反応を見る。
充分過ぎる軌道修正、自分たちの頑張り次第では、この活動を大々的に支援してくれるスポンサーも現れてくれるかもしれない。