知られざる食の宝庫

おいしいお米の代表選手で、全国的に有名なコシヒカリは、60数年前に福井県で誕生しました。ちなみに越の国に光り輝くことを願って命名されたとのことです。

福井県には良い米ができる条件の一つ、良い水があります。良い水があり良い米があれば、そこには当然ながら良いお酒が生まれます。そのため豊かな経験を持つ藏人により造られた、福井にはおいしいお酒の銘柄が数多くあります。

福井県は、白山山系の雪が日本海へと流れ込む九頭竜川をはじめ、日野川、耳川などが流れています。また代表的な酒米の一つ「五百万石」の生産量が全国3位を誇るなど、酒造りに恵まれた地域です。平成29年度国税庁「清酒製造業の概況」によると福井県内には22の酒蔵があります。

その頂点に鎮座するのが創業文化元年(1804年)の黒龍酒造です。黒龍大吟醸「しずく」はそのなかでも幻の酒ともいわれるほど、希少価値の高い逸品です。今上天皇陛下が皇太子時代に飲まれてから、特別に黒龍のブランドは世に知れ渡りました。大吟醸特有の甘くフルーティーな香りと、まるで絹のような舌触りが特徴です。

同じ松岡にある田邊酒造の越前岬大吟醸「吟の雫」は、知名度では黒龍に負けていますが、私はのど越しも後味もスッキリなこのお酒が大好きです。価格も木箱入1800ml1万1千円(税込)で「しずく」に比べ安く提供されています。

越前岬のもろみは、本醸造から大吟醸に至るまで、約1ヵ月間に及ぶ長期低温発酵を行い、「雑味を抑え、透明感ある飲み口と骨格のしっかりした米由来の旨み」を引きだされているようです。

梵の純米吟醸酒「ときしらず」は長期冷温熟成されたお酒がブレンドされており、熟成香と淡い黄金色が特徴です。名前の由来は呑むほどに時を忘れるぐらいおいしいからだそうですが、飲むと納得します。先の二銘柄と比べ価格も安価で、冷やでも良く、ぬる燗なら繊細な料理と抜群の相性で料理の奥深さを引き立てます。お薦めのお酒です。

この「梵」の純米大吟醸の酒粕に漬けた濃厚なクリームチーズも美味です。そのまま食べてもよいですがクラッカーに塗って食べると乙な味で、酒の肴に最適です。

花垣「超辛純米」は福井県の東部に位置する大野市の南部酒造場で造られています。特徴は、なんと言っても辛口のお酒です。醸造アルコールを一切使わずにここまでのキレを出すのには、高い技術が必要とのこと。そして、芯の強いお米の旨味もあり、癖になる日本酒で地元のお酒好きにファンが多いみたいです。