大きくなりすぎた広島市 土砂災害

2018年の西日本豪雨から2年たった今でも、広島市の東部にある東広島市では復興工事が半分しか終わっていないという。予算も計上しているのに工事入札の4割近くが「不成立」となっているそうだ。

「最たる理由が業者の減少で、平成の大合併前に比べ、入札参加資格を持つ業者は15年で35%減少した。ほかにも工事のための仮設路建設などを行う専門技能をもつ業者も少なく、質量ともに人手不足が顕在化している」(2020年07月29日付日経ビジネス記事)

全国建設業協会によると全国的には施工能力には余力があるのに、必要度と提供可能性が地域的に偏在しているということが言える。いずれにせよ災害が多発するだけでなく、その復旧も思うとおりに進まず、復旧途中でまた災害を被らないとも限らない。

地形や地質の関係で、大規模な土砂災害が発生しやすいことに加え、この面からも広島市、および周辺が100万都市圏を維持するための条件が整っていない、整わせるのがむずかしい、ということかも知れない。

そうだとすれば、今の市域の居住者を半減させるくらいの思い切った移住戦略が必要ではないだろうか。例えば崖から50m以内の家屋は全部取り壊し、跡地を公園にするなどの戦略である。

河川の場合は一ヵ所遊水地化することにより他の多くの場所の危険を減らせる可能性があるが、土砂災害の場合はそういうことはないので危険地域はすべて移住する必要がある。

では、その人たちはどこに移ったら良いのか。市内への通勤の便などを考慮したうえで周辺の台地上の地盤強固なところへ、ということになるが、そんなところはあるのだろうか。ないから今のような危険な場所に家を建てざるを得なかったのではないのか。

そうなると、広島市の経済規模が地理的条件を越えているということになり、広島の人には大変気の毒だが、広島市の機能を分散させるという抜本的な解決策を取らざるを得なくなるのではないか。