こうした経営を行うには、社員が新しいマーケティング思考になるように教育する必要があります。もちろん、売る人だけではなく、電話に出る人、モノをつくる人、運ぶ人、すべての社員がマーケティング思考になるための教育が必要です。なぜならば、顧客がいてこそ自己の人生が豊かになるのですから。

これは協力会社や間接的な関係でも同様です。「社会があるから自分がいる」という「社会に生かされている」という発想が必要です。

弊社の例でいうと、テレマーケティングのしつこくうるさい営業電話も、明るい声で感謝の気持ちを込めて対応するようにしています。立場が変われば同じことをするかもしれません。「お互い商売だから」と割り切れないものがあります。

そして何より、いつ誰が自社の顧客になるのかもわかりません。ひょっとすると、それらの人から情報を得られることがあるかもしれません。

誰であっても「丁寧に誠実に感謝を込める」という対応を身につけるべきだと私は考えます。相手を吟味してから対応を変えるなどという器用なことはできないせいもありますが、テレマーケティングのセールスもテレマーケティング会社で働いている人もこの社会を構成する大事な一人です。

新型コロナウイルスの影響で、皆が潤わないと自社も潤うことができないことがわかったのではないでしょうか。中国・武漢がウイルスを食い止められなかったので、私たちも自粛し、ビジネスが低迷しなければならないのです。中国・武漢の責任だと言っているのではなく、地球上の不幸を消し去るための行動にも協力しなければならないということです。

SDGsに参加しなくても、地球温暖化も同様です。「誰もやらなくても自社だけはやる」という企業のライフスタイルが「惹き寄せるチカラ」となります。

「商売だから仕方ない」というのは、「自分は本当はやりたくないが」と聞こえます。

「お客様に喜んでもらう」「この社会で事業を行う価値がある」と考える必要があります。もちろん、商人の概念はこのようなものかもしれません。しかし、いまの時代の「商売」という言葉の響きは私を遠ざけます。