俳句・短歌 歌集 2021.06.30 歌集「日々、燦々と」より三首 日々、燦々と 【第28回】 飯田 義則 50年近く弁護士として活動した著者の急がず、惑わず、実直に生きた78年間の人生が詰まった短編集。 先行きの見えない不況や震災などで何かと暗い話題が多く、希望や生きる活力が見いだしにくい世の中にあって、生きることの素晴らしさ、日々の美しさをもう一度気付かせてくれる短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 平安に 建立せしとう 阿弥陀如来 三眼もちて 我を照らしぬ 山水画の たたずまいなる 幽玄の 漓江りこうを下りて 桂林けいりんを行き 青葉背に 太鼓打ちいる 女らの 頬に光りて 汗の流るる
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『我輩は清掃人じゃ』 【第6回】 ホモ・サピエンス 仲間に助けられて清掃業の初出勤は無事終了。疲れて帰るとドアの前に黒い物体!? そうこうするうち、午前の労働は終了し、お昼休憩じゃ。食事は綺麗な環境でできるものと安易に考えていたのじゃが、ビル内の小汚い部屋が用意されており、控室に使えとの旨が伝えてきてある。安住はどうするものか、気になってはいたものの、弁当を持参していたのじゃ。我輩は、今朝食べた残り物を持ってきたので、食欲旺盛な我輩は、午後のお仕事に負けんよう、胃に流し込んだ。「お主、その弁当、母上が作ってくれたのかの?」…