第2章 HACCPは、今
(3)HACCPグローバルスタンダート
(HACCP支援法・義務化法案/厚生労働省)
② 食品の管理は、食品衛生法からHACCPへ、そしてFSSCへ
食品の安全において、従来方式では「食品衛生法」に基づいて、製造工程、検査の実施、箱詰め、出荷等に対して行われていました。検査により製品に問題があることがわかった場合、出荷の差し止めや製品回収(リコール)など、ここで対策を取っていました。
厚生労働省は、1996年に、HACCPを食品衛生法第7条第3項への理解として総合衛生管理製造過程を通知しました。
このHACCP方式とは、原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、あらかじめ危害要因を分析(HA)し、その危害要因防止(予防、消滅、許容レベルまでの減少)するための重要管理点(CCP)を特定して、そのポイントを継続的に監視・記録(モニタリング)し、異常が認められたらすぐに対策を取り解決するので、不良品の出荷を未然に防ぐことができるシステムです。
すなわち、HACCPにより食品の安全性が拡大することになり、食品のグローバル化にとってより有利に働くことになります。
・HACCPの義務化
HACCPは食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物等の危害要因をあらかじめ分析し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるか? という重要管理点を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理の手法です。
この手法は国連食糧農業機関(FAO)とWHOの合同機関である食品規格(コーデックス)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたガイドラインです。
③ 世界のHACCPと食品の安全性と動向
ここまで説明してきた食品の安全に向けて、現在推進されている動向について、まとめて説明しておきましょう。なお、HACCPの推進については、政府の「日本再興戦略」の一端として閣議決定が行われています。
①厚生労働省では、2018年を目途に、HACCPの義務化が進められています。その内容は決定していませんが、食品衛生法第50条第2項のHACCP型管理運営にもとづいての「許可」が基本となります。
②自治体による認証制度の設置
例えば、東京では、「東京都食品衛生自主管理認証制度」を規定し、食品安全の審査制度があります。HACCP義務化以降の運用は今後、総務省で協議されるでしょう。
③農林水産省では、日本発食品安全管理規格(JFS)を推進しています。
④中小企業組織のためのグローバルマーケットプログラム「中小企業用監査」の推進があります。
⑤世界の国々での、GFSI(グローバルフードセフーティ・イニシアティブ)承認規格については、食品安全維持団体として、次のようなものがあります。
「FSSC2200・オランダ」、「SQF・アメリカ」、「グローバルGAP・ヨーロッパ」、「IFS・ドイツ」、「カナダGAP・カナダ」、「BRC・イギリス」など。
※本記事は、2018年6月27日刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋、再構成したものです。最新の情報・法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。