HOOD LOVE

6番線を待つ地下鉄の駅ホーム。なかなか電車はやって来ない。人もまばらで静かな時間が流れている。

ダウンタウン行きの反対側ホーム。ベビーカーを引く若い男性の姿が目に入った。10代ぐらいだろうか。誤って赤ん坊を振り落としたりしないように、細心の注意を払いながらゆっくりと歩いている。ベビーカーを引くその手はまだおぼつかない。

赤ん坊が少しぐずり始めたようだ。パパは慌てて大きなバッグの中をあさり、おしゃぶりを取り出す。急いで赤ん坊の口元に持っていくが、なかなかうまくいかない。コロン、コロン……。その瞬間、おしゃぶりが地面を転がっていく。パパは拾ったおしゃぶりを手の平にのせたままどうするべきか考えている。赤ん坊は小さな手足をバタバタ、バタバタ……。

パパは突然、おしゃぶりを口にふくんだ。自分の唾液で汚れを落としている。今度は、赤ん坊の目を見つめながらゆっくりとおしゃぶりを口元に持っていった。赤ん坊はパパの目を見つめたままおしゃぶりをパクッと口にふくんだ。パパは身体を起こし、ほっと一息。

In the heart of the city... あと、何分で地下鉄はやって来るのか。見当もつかないままアップタウン行きの地下鉄を私は待っている。

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from My Hood to Your Hood

ブルックリンのMarcy Ave.で地下鉄を降りる。10分から15分ほど歩いたところに、私の住むプロジェクトがある。この地区もまたアフリカ系とヒスパニック系の住人が大半を占めている。すぐ隣のブロックはユダヤ人居住区である。基本的に、女性も男性も全身黒ずくめというスタイルだ。男性は口髭と顎髭を大量に生やし、顎のラインまで伸びたもみあげはクルクルとねじられている。女性は肩ぐらいに毛先を切り揃え、膝下スカートを穿く。ユダヤ系と言っても、他宗教や他人種に比較的寛容な宗派と、そうではない宗派とがあるらしいが、この地区の人々は非常に保守的である。