俳句・短歌 四季 2021.04.22 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第18回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 緑葉りよくようの茂る木立に不如帰ほととぎす 連続に鳴く声を聞く朝 繁茂樹はんもじゆに桃源郷の思いする 楽園都市の無錫の市街 一雨ひとあめの湿った土に浮かぶ草 木きの葉も萌えてシャッキリと立つ
小説 『記憶のなかで生きる』 【第16回】 厚切りゆかり 「3日も熱が続くのはおかしい」と母を病院へ連れて行くと…病名を聞き、「入院が必要」頭が真っ白になった。 【前回記事を読む】家のトイレがわからない母のために、家中のドアに紙を貼った。『トイレ』、『台所』、『お母さんの部屋』その年の冬は、例年より寒かった。母は寒さに弱くなったのか、こたつから離れようとしなくなった。「お母さん、少しは動いたほうがいいよ」「だって、寒いんだもの」「じゃあ、こたつの中で足踏み運動しよう」私は母と一緒に、こたつに入ったまま足を動かす運動をした。テレビの体操番組を見ながら、二人…
小説 『野島・夏島』 【第8回】 小川 賢 昭和16年12月8日、ラジオが真珠湾奇襲を告げた…開戦の1カ月前、外国人は次々と去り、横須賀軍港でも異変があった。 【前回の記事を読む】中尉の奥さんになる人ですかと聞かれた。「こんなきれいな方が奥さんになるなんて……」。違う、私は彼の……奈津は実家で叔母からその写真を見せてもらっていた。少しぎこちなく写っていたが、着物姿の端正な顔立ちの女(ひと)だった。「善通寺の商家の娘さんだって」「分かった。一度家に帰って両親と話し合うよ」貞義は納得したようだった。一時間程で面会は終わった。「寒川のやつ俺の従妹に関心があっ…