ショーの奴、よっぽどお腹が空いていたと見える。それはそうだ、昼食べてから夜九時過ぎまで何も食べていないのだから……。

家に帰るとショーは、何事も無かったようにニコニコしながら炬燵に入っている。私は、ショーを叱りながら涙を流していた。それにしてもこの「ショー失踪事件」は疑問だらけだ。

発見された場所、家から徒歩三十分以上の市営公園。たまにしか行ったことがない。

失踪した場所(市営図書館)から徒歩十分程度。

その間に踏み切りがあり、交差点がある。

どのように、交差点や踏切を渡ったのであろうか?

この公園は県道に面しているわけでなく、左手に入り、ちょっと細い道を下って行ったところにある。ショーはこの公園が何故、分かったのであろうか? 何故この公園を目指してきたのだろうか。

重度の知的障害をもち、言葉すら発することができない四、五歳の子供がどうやって発見された公園まで辿り着き、何がしたかったのか一番不思議なことである。事故に遭わなかったこともそうであるが、近くの主婦に偶然発見されたことも奇跡的な事かと思う。