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シャツ専門店
「大丈夫? 飲みすぎた?」
私は彼の声で、ふと我に返った。お店にはスウェディッシュポップが大音量で流れていた。
「ごめんなさい。思い出してた。少し前の奏多とのこと」
カウンター越しに奏多はやれやれという顔で、私にもう飲まないように言った。
私は自分の目に涙が溜まっていることに気づく。
そして、カウンターの下で、彼が、優しく私の手を、握っていた。それは、あまりに温かな手だった。
奏多の店を出て、私たちはキスをした。
通りの、帰り道で、誰かの家の壁に寄りかかり私は彼の唇を受け止めていた。静かに、長い長いキスだった。何度も息が苦しくなったけれど、私は、やめてほしくないと思った。
繰り返し繰り返し感情の波が押し寄せ、たまらない気持ちになった。
彼の香水の匂いが、夜に静かに溶けた。