日本でのインドに関する報道は、社会問題だけが取り上げられ、それが一般的な社会通念となっているところに危機感を覚えます。報道関係各社もそれを理解し、日本の国防における地政学的な観点から、インドという国の重要性を日本で呼びかけていただきたいものです。
またさらに大切なことは、在インド日系企業は、日本人特権階級を生み出すのではなく、インド国内法に服し、インド社会に貢献するとともに、日本政府の協力を得ながらインドを開かれた市場にすること、そのことを使命として感じてほしいのです。
社業を通じての社会改革ほど、やりがいのある仕事はありません。インドの経済が停滞したなら、日本の防衛面にも影響をきたす、との自覚をもってインドでの企業経営に取り組んでいただきたいものです。
《参考資料》2010年当時の労働関係法の著者覚え書より
【雇用契約】
契約労働Contract Labour(Abolition and Regulation)Act,1970
◆契約労働者とは、請負業者によって、または請負業者を通して、ある事業所で雇用されている労働者をいう。
◆同法は、契約労働者の雇い入れ条件を規定し、許容されていない慣行を排除することと、主に契約労働者と直接雇用の労働者を公平に扱う(賃金水準や労働条件)ことを目的としている。期間雇用Contract Labour(Abolition and Regulation)Act,1970
◆同法は同法が適用される全ての派遣先に対し、当局にその事業所を登録する義務を課す。同様に同法の適用対象となる全ての請負業者に、許可の取得を義務づけている。
◆政府は、中央委員会や州委員会と協議の上、いかなる事業所の契約労働者を雇用することを禁ずる権限を持つが、審判所や裁判所には権限はない。
◆従業員数が100名を超える企業は、期間雇用者の雇用期間が1年間で240稼働日を超えないよう注意。これを超えた場合、期間雇用者の「人員削減」とみなされ、補償金支払い(最終年度賃金の15日分×勤続年数)の義務が生じる。
◆同法は期間雇用者を複数年にわたる性質の職につけることを禁止している。