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「鉄いじりをするな!」
ところで、島に赴任することになり、バーベルとベンチプレス台を持ち込んだ。
養護学校では、「生徒の体力強化のために」とウエイトトレーニング用のマシンが用意されていた。いや、「トレーニング用具がほしい」と言ったところ、その名目で購入してくれたのだった。
そのため、いわゆる「空き時間」には体力維持・向上のために、そのマシンでウエイトトレーニングを行っていた。
養護学校では、「『空き時間』にトレーニングとは偉い」と管理職を始め、多くの先生方からも賞賛されていた。ところが、この島の学校では、「空き時間」にウエイトトレーニングすることを良しとはされなかった。
むしろ、さまざまな雑用をしなければならないということか!?
ことに地元の重鎮である事務員さんに告げ口され、体育教員ではない校長から、
「私も若い時にやっていて『鉄いじりはやめなさい』と注意された!」
と指導を受け、「空き時間」のウエイトトレーニングを禁止されてしまった。
極小規模校であるため、「空き時間」はかなりあった。そのほんの一部だけであったのだが、致し方なくウエイトトレーニングは勤務時間を終えてからするようにした。
果たして「空き時間」に体育教員が体力維持・向上のためのトレーニングを行うことは許されることではないのだろうか?
何とも言えない息苦しさを感じざるを得なかった。こんなこともストレスの一要因に……。
教育相談部新設──「カウンセリング好き」のその先に……
3年目には、生活指導主任に抜擢された。
小さな島で、村中の人たちの目も行き届いていて、そうそう悪さができる環境でもなかった。生活指導上の大きな問題が発生することがあまり想定できず、安全管理・衛生管理には気を配るようにしていた。
そんな中、いじめが表出し、その対策・解消に奔走することになる。
この時に初めて「いじめ防止対策」の難しさを痛感させられたのだった。いじめは次々に移っていく。それまでいじめられていた子が、今度はいじめっ子へと替わっている。
さらには、この島においては島文化に根ざした深い問題がある、と見立てられ、それにも翻弄されてしまった。地元出身ではないために、「よそ者扱いされる」というのはどこにでもあることだが、この島の中でも、小さな島の生活を守っていくために選ばれた「27軒衆」と呼ばれる家があり、長年に渡り一子相続で島の中心を担ってきた。