やよい
きみは木立の中に
透明な花を隠している
涙は霧のようで
ぼくから熱を奪わない
幾たびも逢いたい
ぼくは変わってゆくけれど
やわらかな予感に包まれた
きみが変わることはない
さくら
気の済むまで愛でる
それは許されている
しかし留め置くことは許されない
僕の目の前に惜しげもなく美しい姿を晒してくれるけど
幸せな時はあまりにも短い
季節は巡り桜は散る
姿を変える
面影もないほどに
さくら
手に入れることはできない
散りゆくまでただ眺めているだけの遠い人
さくら
僕の送る暖かい春の風に
花開いてそして散っていった遠い人