3 プロポーザルの勝敗
プロポーザルのゴールとしてのプレゼンテーションとは、相手が自分の目的にかなった意思決定を下すよう影響を与えるためのコミュニケーションです。心を動かすという観点で考えれば、ビジネス的な利益の提示以外にできることはたくさんあります。
プレゼンテーションの場で起こる出来事を多面的に捉えることで、プレゼンテーションの可能性は大きく広がります。そのようなプレゼンテーションを実現するプロセスを、とりあえず多元的なプロポーザルと呼びましょう。
さて、人に影響を与えるとはどのようなことでしょうか。社会心理学者のジョン・フレンチとバートラム・レイブンは、相手に対して影響を与える力のことを勢力と呼び、これを6つに分類しています。
①報酬勢力、②強制勢力、③正統勢力、④準拠勢力、⑤専門勢力、⑥情報勢力の6つです。
利益の提示により影響を与える報酬勢力の駆使は、その利益がコンプライアンスにかなったものである限り最も順当な手法であると言えるでしょう。
損害をほのめかす強制勢力は何やら不穏な印象がありますが、報酬勢力の補完的手法となります。正統勢力とは、社会的に妥当であることを根拠とした勢力です。
先輩、後輩の関係を使う場合や、形式的なCSRなどが挙げられるでしょう。準拠勢力は、ブランディングの最終目標とも言えるかもしれません。これは相手が自分に対して魅力を感じ一体でありたいと考えている状態です。