かあさんが

かあさんが亡くなって いく日もたつのに

なかなか寝つけない

一緒に暮らした年月よりも

離れて暮らす年月の方が長くなった

妻になり 子をもち 孫ができ

六十五歳を過ぎた今だからこそ

かあさんの生き方 考え方

かあさんの強い一言が 心に響く

かあさんは床に着くようになってから

一度も電話をかけてこなかった

弱った親の姿

弱った声を

子供に聞かせたくなかったのか…

夜中

受話器を握ったかあさんの元気な声が聞こえてきそうで…

たしかに かあさんの声が聞こえた

「美智子 何してる」