かあさんに

かあさんに会いに行った帰り

私の車が見えなくなるまで

大きく手を振り続けるかあさんがバックミラーに

私も 車の後のワイパーをまわし続けた

かあさんに会いに行った帰り

へやの窓から顔を出し手を振ってくれた かあさん

かあさんに会いに行った帰り

振り向くと目をつぶり かすかに手が動いてた

しわいっぱい 黒いシミだらけの手

でも かあさんの手は いつもいつも やわらかかった

かあさんが亡くなって いろんな写真を見ていると

食べること

子供を育てること

家を守ること

それだけにそれだけに

懸命だったことがみてとれる

この時代の人

皆がそうだったのですね