成人期ADHDチェックリストを行ってみると

次のお子さんの診察時に夫を連れてきてもらい、成人期ADHDチェックリストを行ったところ、ほとんどあてはまり予想通りADHDと診断がつきました。そして、わかりやすく丁寧に具体的に治療の説明をしたところ、夫はすんなりと治療を承諾しました。この場合、受け身型の比較的淡い自閉スペクトラム症だったから「すんなりと」承諾できたものと考えられます。

投薬を開始して約1~2カ月で効果が現れ始めました。イライラはなくなったようです。車の運転も落ち着いてきたと言います。

すると、徐々にお子さんのことにも関心を持ち始め、いろいろと子育てを手伝ってくれるようになったというのです。

もちろんそのおかげでお子さんの症状も飛躍的に良くなったのですが、何より印象的だったのが、治療を重ねていく上で、Iさん自身が生き生きとしてきたのです。食事もとれているようで、どことなく、ふっくらしてきているようにも見えます。

「今までが嘘のように、家の中が明るくなりました」と嬉しそうに話してくれました。

また、夫だけでなく、妻の方が発達障がいであるという場合もあります。

37歳の主婦のJさんは、ADHDを抱えていました。彼女は近くの病院の精神科で抗うつ剤などを投薬されていましたが、一向に良くならないため、自身でADHDを疑い、ネットで調べて受診してきたのです。私のクリニックへ初めて受診する患者さんは、ほとんどがネットで調べて予約しにきます。

Jさんは、結婚前までは上司と合わず職を転々としていました。どういう仕事が良かったですかと尋ねると、「工場が良かったです」と答えました。

理由を聞くと、「同じことができて楽だからです」と言うのです。自閉スペクトラム症の方は、職を転々としていることが多いのですが、一方では環境の変化に弱いのでとっさに入る仕事よりは同じパターンでやる仕事の方が向いています。さらに診察を続けていきます。