一日の役所勤めの仕事も終わり、家に着いてから一人になった私は特に仕事上の雑事に追われることのないときは、自分の部屋でいろいろな小説を読んだり、また童心に返ったように絵本や童話を読んだりして気を紛らわせていた。結局あの日も同じように夜遅くまでそれらを読みふけっていて、いつしか眠ってしまったようだった。

朝、小鳥たちのさえずりで、ふと目をさますと、外はすごく良く晴れてほんとうにすばらしい天気だった。久しぶりに裏庭に出てみた。すると数羽の小鳥たちが葉桜の細い枝の上で囀っていた。そのとき一羽のひとまわり大きいヒヨドリがどこからともなく飛んできて、彼らを追い払うようにしてその細長い枝の上にしっかりと留まった。

その瞬間、ヒヨドリは枝と共に大きくゆったりと上下に揺れ動いて、まるでシーソーに乗っているかのように、その大きな揺れはあたかもそれらが一緒になって互いに楽しんでいるかのように見えた。しばらくしてそれが再びどこかへ飛び去って行く姿を見送りながら、私は思いきり歌を唄いだした。

すると間もなく私が唄う声に重唱するようなきれいに澄んだ別の歌声が聞こえてきた。